ゲド戦記 原作者のコメント


ジブリ映画「ゲド戦記」に対する原作者のコメント全文(仮)
http://hiki.cre.jp/Earthsea/?GedoSenkiAuthorResponse
原文
http://www.ursulakleguin.com/GedoSenkiResponse.html


日本語訳を読んでから原文を読みました
私が想った事をつらつらと


I am sorry that anger and disappointment attended the making of this film on both sides of the Pacific Ocean.


う〜ん たくさんの抗議が日本から行ったんでしょうね
プラス both sides って言ってるから暗に
自分のanger and disappointmentも含めてるんだろうなぁ
そして


Very few authors have any control over the use made of their books by a film studio.


ってな文で始めている所をみると
その抗議?メールの中には
彼女自身を責めちゃう様な文もあったんだろうなぁ
そしてここのくだり


At that time, work had already started on the film: a copy of the poster of the child and the dragon was given us as a gift, and also a sketch of Hort Town by Mr Hayao and the finished version of it from the studio artists.


ここで面白いのは 私が以前
このゲド戦記映画化に関する宮崎親子のストーリーに感動した
『世界一早い「ゲド戦記」インタビュー(完全版)』
http://www.ghibli.jp/20special/000283.html 
においては ここの場面って
宮崎吾郎氏の描いたドラゴンと少年の絵の方がお話し?のメインだったんですよね
でもここの彼女の文には 吾郎氏のごの字もなく代わりにMr Hayaoの名がある
つまり彼女にしてみれば Mr Hayaoの描いたHort Townのスケッチこそが
承諾の決め手だったのかなぁと
だからこそ文はこう続いてゆく 


Work on the film went on extremely rapidly after that. We realised soon that Mr Hayao was taking no part in making the film at all.
I am sorry that anger and disappointment attended the making of this film on both sides of the Pacific Ocean.
I am told that Mr Hayao has not retired after all, but is now making another movie. This has increased my disappointment. I hope to put it behind me.


最初の1文には 宮崎駿氏が関わっていない事を知った時に関する
自分の感情を書いてないんだけれど その次の文で
anger and disappointment が both sides って書いてるから 
暗に 自分だって今 anger and disappointment って言っているわけで
プラス 3文目の disappointmentが増えた ってのも
増えたからには元があったわけで
つまり彼女は 駿氏が関わらなかった事に対して
制作の段階で既にdisappointmentしていた そして出来上がりに対してだってそうだ
と言ってるんですよね anger and disappointmentは私も一緒なのよ とね 
そして 試写後に行われた彼女の息子さん宅でのパーティのこのくだり


Elinor the corgi behaved with great propriety, while Mr Toshio Suzuki did headstands on the lawn.


これって物凄く皮肉たっぷりですよね 犬でさえ行儀がよいのに(^。^;) っておい(笑)
というか こんな文 入れる必要ないのに敢えて入れてる というのは
実は次に続く文 彼女がこのゲド戦記への自分の想いを公表する事に至った理由
の枕詞になってるんだろうね多分
つまり このパーティはプロデューサーが庭で逆立ちする程(^^ゞ
くつろいでビジネス抜きであった という枕詞?
そしてこの下に挙げたこの次の文も含め 私の憶測で言えば彼女の気持ちはこんな感じ?
私はプロデューサーさんに言いたい事はたくさんあったのにあなたは脳天気(^^ゞ
そんな場だったからこそ私も 吾郎監督の質問にラフに答えたのに
それにあれは私と彼とのプライベートな会話でしたよね? 帰り際で時間もなかったし
それにとても一言で言えるものでもないし
それに本人に向かってあの和やかな時間の中であれこれ言える?
だからああ答えたのにそれなのにそれを公式ブログで取り上げるなんてフェアじゃない
みたいなネ まぁあくまでも私の読みですが(^^ゞ
ちなみに 吾郎さんの質問のくだり 彼女はこんな風に描写してます


Mr Goro Miyazaki asked me just as I was leaving, "Did you like the movie?" It was not an easy question to answer, under the circumstances. I said: "Yes. It is not my book. It is your movie. It is a good movie."
I did not realise that I was speaking to anyone but him and the few people around us. I would have preferred that a private reply to a private question not be made public. I mention it here only because Mr Goro has mentioned it in his blog.


そして一方 宮崎吾郎氏側ではこの同じ場面はこうなります


そのパーティーの最後のお別れの挨拶のとき、
自分からル=グウィンさんに映画の感想を求めました。
これだけはきちんと聞いておかなければと思ったからです。
彼女は短く答えてくれました。
「It is not my book.
It is your film.
It is a good film.」
と。
彼女としては、本当はたくさんおっしゃりたいことが
あったのではないかと思うのですが、
それでも温かい笑顔とともに下さった言葉です。
この短い言葉を素直に、
心から感謝して頂戴したいと、思ったのでした。
ル=グウィンさん、
そしてずっと私たちとの仲立ちをしてくださったテオさん、
本当にありがとうございます。
これで安心して日本に帰れる気がします。


番外編5 ル=グウィンさんの言葉 
http://www.ghibli.jp/ged_02/20director/000854.html#more


ああねぇ このすれ違いが見えるでしょうか
ル=グウィンさんは just as I was leaving なわけ
けれど吾郎氏には パーティーの最後のお別れの挨拶のとき となる
ル=グウィンさんにしてみれば 公式ブログに載るという事は
正式なビジネスインタビューであるのと同じ事であるのに対し
吾郎氏にとってこの文は もっと感情的?なもの
彼女の言葉を自分の日記に自分の感想として書いたわけで
感謝の気持ち こそが 吾郎氏にとって書きたかった事
だけれど 彼女にしてみれば 気持ちよりも論理 想いよりもビジネス
彼女が言った事が彼女の承諾なしに公にされた事こそが問題
まぁもちろんね この吾郎氏の日記が
ジブリにとってのビジネス宣伝になってる事は否定出来ません
だけれど それを許しちゃう土壌が日本のビジネス社会にはあるんですよねぇ 
いや〜ね〜 私は 日本人であるが故 この吾郎氏の文から
彼の ル=グウィン女史に対する謙虚な気持ちと感謝の思い をしっかりと感じて
好感の持てる文なだけに なんだか残念です
小学生に ファクトとオピニオンの区別を練習をさせるアメリカと
その2つを切り離す必要性を考える感性のない日本との
文化の違いを改めて感じてみる私でした