1枚の写真


海兵隊従軍カメラマン ジョー・オダネルさんのスペシャルを見た 日本で過去に放映されたものだと思う これは彼が撮った写真 時は1945年8月19日 場所は原爆が落とされた後の長崎 火葬場 少年が背負っているのは死んだ弟 彼は弟を焼く順番を待っている よく見れば 唇の端からは血 泣かない様に必死に唇を噛み締めているからだ ジョー・オダネルさんは言う 私は声をかけられなかった かければこの少年が崩れ落ちてしまう事が分かっていたから 
この写真に私は泣けてならない 子供にこんな顔をさせていいのだろうか 親を失ったのだ 弟を焼かなければならないのだ わんわん泣いていい年頃だ 大人だって泣き崩れるだろう なのに彼は 必死に自分の仕事を果たそうと立っている 感情を爆発させていい年頃の子供が まだまだ親に甘えていい年頃の子供が 戦争を起こした大人達の言い付けを守り 必死に涙をこらえ 直立不動で立っている 胸がかきむしられる 戦争とはこういう事なのだ こういう子供達をたくさん作る事なのだ 
原爆の後 長崎のあまりの悲惨な状態に 私達はなんて事をしてしまったのだ と愕然としたというジョー・オダネルさん 彼は今でもこの少年を探し続けている 私にとってこの少年を探す事はとてもとても大事な事なのです その彼の気持ちが痛い程分かってしまう それは贖罪? 癒し? うまい言葉が見つからない 様々なものがいっしょくたになっているのだろうと思う あの惨状を目撃した心の苦しみから抜けだせずに彷徨っている自分が決めた出口が この少年を見つける事 なのかもしれない 彼もまた 戦争の被害者なのだ
この写真を見て 子供を抱いたアメリカ人女性が泣いていた 人は人として分かり合えるのに どうして自らの信じるもののために殺しあわなければならないんだろう そしていつも犠牲になるのは 力を持たぬ者達なのだ

※後記
検索をかけたら見つかりました タイトルは 原爆の夏 遠い日の少年〜元米軍カメラマンが心奪われた一瞬の出会い〜
http://www.bs-i.co.jp/main/documentary/show.php?0077