時にはどんなナイフよりも鋭く

ベトナムの若者が
地雷で足を吹き飛ばされたとき
イラクの娘は
空爆の中で朝を待っている
パレスチナの少女が
泣きながら寝がえりをうつとき
スーダンの少年は
柱頭を染める血糊から目を逸らす
この地球では
いつもどこかで戦争がおこっている
ぼくらは憎悪をリレーするのだ
国から国へと
そうしていわば交替で憎しみをつくる
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで死にゆく人間の悲鳴が聞こえる
それはあなたの送った怒りを
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

みんな人間です
テロリストも香田さんも小泉総理も私達も
みんな人間です
ときには人間じゃないようなこともしてしまうけれども
みんな人間です
お腹が空いたら何か食べたりします
眠くなったら目を閉じて寝てみたりします
夢なんかも見たりします
トイレに入ってオシッコをしたりウンコをしたりします
みんな人間なのです
オシッコもウンコもしない "神" なんかより余程近くにいるのです 

死んだ人々は、還ってこない以上、
生き残った人々は、何が判ればいい?
死んだ人々には、慨く術もない以上、
生き残った人々は、誰のこと、何を、慨いたらいい?
死んだ人々は、もはや黙っては居られぬ以上、
生き残った人々は沈黙を守るべきなのか?

ジャン・タルジュー詩集
『詩人の光栄』より (渡邊一夫訳)

先日香田さん関連でネットをグルグル巡っていた時 2チャンでこの文を拾いました どうしても残したく 作者不明のため勝手な引用をお許し下さいませ 読んでいて泣けました 悲しい苦しい辛い そんな形容詞なぞなくても すぱっと心に切り込んで来る言葉達がある